ビジネスメールや通知、社内外の連絡文で「ご承知おきください」という表現を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
この言葉は、相手に「知っておいてほしい」「あらかじめ理解しておいてほしい」という意図を、丁寧な敬語で伝える便利なフレーズですが、
「本当に正しい使い方なの?」「失礼にあたるの?」「二重敬語なの?」と気になる方も少なくありません。
この記事では、「ご承知おきください」の意味・定義、正しい使い方や例文、言い換え・類語・英語表現、注意点やよくある誤用、そして“おかしい表現なのか” “失礼かどうか” “二重敬語かどうか”についても詳しく解説します。
安心して使えるビジネス敬語表現を身につけましょう。
ご承知おきくださいの意味・定義
「ご承知おきください」とは、「あらかじめ知っておいてください」「ご理解の上、心に留めておいてください」という意味で使われる丁寧な敬語表現です。
- 「承知」=「知ること」「理解すること」「わかること」を丁寧にした言葉
- 「おき」=「置く」からきており、「状態をそのままにしておく」「~しておく」の意味
- 「ご承知おきください」=「あらかじめ知っておいてください」を敬語にしたもの
主な使い方・ニュアンス
- 相手に特別な対応や返信を求めないが、知識として伝えておきたい事項の伝達に使う
- 通知・お知らせ・社内外メール、注意喚起、案内状の結びなどで幅広く活用
- 「ご参考までに」「念のため」と同じく“伝達・連絡”の意味合いが強い
例文
- 本件につきましては、あらかじめご承知おきください。
- メンテナンス実施のため、システム停止となります。ご承知おきくださいますようお願いいたします。
- 今後の対応に関しまして、ご承知おきください。
ご承知おきくださいの使い方・例文
「ご承知おきください」は、何かを“知っておいてほしい”“心に留めておいてほしい”とき、事前周知や通知・お知らせの中でよく使われるフレーズです。
具体的な使い方・例文を紹介します。
連絡・通知・お知らせで
なお、来週より一部ルールが変更となりますので、ご承知おきください。
予告なく仕様が変更となる場合がございます。ご承知おきくださいますようお願いいたします。
注意喚起・お願い
年末年始は休業日が異なりますので、ご承知おきください。
新しいシステムへの移行に伴い、操作方法が一部変更となります。ご承知おきください。
案内文・メールの結び
上記の内容については、ご承知おきくださいますようお願い申し上げます。
ご承知おきくださいはおかしい?失礼なのか?
「ご承知おきください」は一般的なビジネス敬語として広く使われていますが、場合によって「上から目線に感じる」「冷たい印象を与える」と思われることもあります。
おかしい・失礼と言われる理由
- 「ご承知おきください」は命令形に近いニュアンス
- “知っておいてください”と直接的に伝えるため、相手や文脈によっては「一方的」「押し付けがましい」「冷たい」印象になることがある
- フォローやクッション言葉がない場合、事務的に感じやすい
- お詫びや配慮の一言(例:「ご不便をおかけしますが」「何卒」など)がないと、機械的・高圧的と感じられることがある
- 特に目上の方やお客様、外部の方には注意が必要
- 目上・取引先には、もう少し柔らかい表現やクッション言葉とセットで使う方が無難
失礼にしないための工夫
- 前置きやクッション言葉を添える
- 例:「お手数をおかけしますが、ご承知おきくださいますようお願い申し上げます。」
- 感謝やお詫びの表現も添える
- 例:「ご不便をおかけしますが、何卒ご承知おきくださいますようお願いいたします。」
- 相手や状況を配慮した表現にする
- 柔らかい言い換え(後述)や一文加えることで印象が和らぐ
ご承知おきくださいは二重敬語なのか?
「ご承知おきください」は二重敬語には当たりません。
その理由は、
- 「ご承知」…「承知」は謙譲語(相手の行為に敬意を示すものではない)
- 「おき」…補助動詞「おく」の連用形で、「状態を保つ」という意味
- 「ください」…丁寧な依頼表現
したがって、「ご承知おきください」は「ご」+「承知」+「おき」+「ください」の構造であり、 敬語が重複しているわけではなく、正しい敬語表現とされています。
ご承知おきくださいの言い換え・類語・英語表現
「ご承知おきください」には、相手や場面に合わせた柔らかい言い換えや英語表現もあります。
主な言い換え・類語
言い換え・類語 | ニュアンス・使い方 |
---|---|
ご理解くださいますようお願いいたします | もう少し柔らかく丁寧な印象 |
あらかじめご了承ください | サービス業などでも多用される事前周知の定型句 |
ご留意ください | 注意や意識してほしい事項を伝えるとき |
ご案内申し上げます | 「ご承知おきください」より事務的・お知らせ文で多用 |
ご認識いただければ幸いです | 柔らかく伝えたい場合 |
念のためお知らせいたします | 気配りや柔らかさを出したい時 |
使い分け例
- ご理解くださいますよう……配慮や事情説明を加えたい場合
- あらかじめご了承ください…よくある事務的案内や注意文で
- ご留意ください…注意喚起やリスク説明に
英語表現
「ご承知おきください」に該当する英語表現もいくつかあります。
日本語例文 | 英語表現例 |
---|---|
ご承知おきください | Please be advised. / Please be informed. |
何卒ご承知おきくださいますよう | We would appreciate your understanding. |
あらかじめご了承ください | Thank you for your understanding in advance. / Please kindly note that… |
ご留意ください | Please keep in mind that… / Please note that… |
よく使う英語フレーズ
- Please be advised that…
- Please kindly note that…
- We appreciate your understanding.
- Thank you for your cooperation.
ご承知おきくださいを使う際の注意点・よくある誤用
「ご承知おきください」は便利な表現ですが、乱用や文脈を無視した使い方には注意が必要です。
注意点
- 命令・押し付けに聞こえないよう配慮を添える
- クッション言葉やお詫び、感謝の一言を加える
- 相手や場面によっては柔らかい言い換えを使う
- お客様や目上の人には「ご理解いただけますと幸いです」など
- 案内文の締めとして連続で多用しない
- 定型文が多いと無機質な印象になる
- 「ご承知おきください」だけで終わらず、内容や目的を明確に
よくある誤用・NG例
- 高圧的な印象を与えてしまう
- ×「必ずご承知おきください」(強制的な命令文にならないよう注意)
- お詫びや感謝が抜けて事務的すぎる文面
- ×「この内容はご承知おきください。」だけではそっけなくなりがち
- 本来の「知っておくべき内容」以外で乱用する
- 相手の確認や了承が必要な場合は「ご確認ください」「ご承諾ください」などを使う
Q&A
シーン別使い方
連絡・通知の締め
期日までの提出が必要となりますので、ご承知おきください。
変更・注意事項のお知らせ
今後の方針変更につきまして、ご承知おきくださいますようお願いいたします。
サービス・業務案内
年末年始の営業時間が通常と異なりますので、ご承知おきください。
重要事項の事前周知
大規模なメンテナンスを実施しますので、あらかじめご承知おきください。
シーン別応用例
シーン | 具体例文 |
---|---|
通知・お知らせ | 本件については、ご承知おきくださいますようお願い申し上げます。 |
業務変更案内 | 来月より新しい体制となりますので、ご承知おきください。 |
ルール改定 | 一部ルールが変更となりますので、何卒ご承知おきくださいますよう。 |
サービス停止 | サービス一時停止について、ご承知おきくださいますようお願いいたします。 |
まとめ
「ご承知おきください」は、相手に何かを“知っておいてほしい”時に使う便利なビジネス敬語表現ですが、
使い方や相手、文脈によっては冷たい・高圧的な印象を与える場合もあります。
二重敬語にはあたりませんが、
配慮の言葉や柔らかい表現と合わせて使うことで、より伝わる丁寧なコミュニケーションが実現できます。