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請求書とは?正しい書き方・作り方・注意点を徹底解説

ビジネス取引の現場で必ずと言っていいほど必要になるのが「請求書」です。
請求書は「商品やサービスを提供した対価を請求するための公式な書類」であり、発行・受取・保存のすべてが会計や税務の根幹に関わる大切な業務です。
この記事では、請求書の意味・役割・基本的な書き方・作り方・注意点・電子化対応・よくあるトラブルの防ぎ方まで、実務ですぐに役立つ情報をわかりやすく解説します。

目次

1. 請求書とは?

請求書とは、商品やサービスを提供した事業者が、取引先に対して「これだけの金額を支払ってください」と金銭を請求するために発行する書類です。

役割説明
請求意思の明示「これだけ請求します」と取引先に伝える
取引内容の証明何を・いくらで・いつ・誰に提供したか記録する
支払期日の明確化取引先が「いつまでに・いくら」支払えばよいかを伝える
会計処理・税務対応企業の帳簿や決算書の証憑資料となる
紛争・トラブル回避内容確認やトラブル防止のエビデンス(証拠)となる

● 発行タイミング

多くの場合「納品後すみやかに」発行されます。月末締め翌月払いなど契約条件があればそのスケジュールに沿って発行します。

2. 請求書に記載すべき項目と法的要件

一般的な請求書に必ず記載すべき項目は以下の通りです。

  • タイトル(請求書)
    書類の上部中央に「請求書」と明記します。
  • 発行日
    請求書を作成・発行した日付。
  • 請求書番号
    通し番号や管理番号。重複を避けるため必須です。
  • 取引先名(宛名)
    請求相手の会社名・担当者名を正式名称で記載。
  • 自社情報
    自社の会社名、住所、電話番号、メールアドレス、押印(任意)など。
  • 請求金額
    合計金額(税込表示が推奨)。通貨単位(円)も明記。
  • 明細(品目・数量・単価・金額)
    何を・いくつ・いくらで提供したかの詳細。
  • 消費税額
    明細ごと、または合計で分かりやすく。
  • 支払期限
    「〇年〇月〇日までにお支払いください」など明記。
  • 振込先口座情報
    銀行名、支店名、口座番号、口座名義人など。
  • 備考欄
    納品日、検収番号、振込手数料、注意事項、特約など。

● インボイス制度(適格請求書等保存方式)対応

2023年10月から始まった「インボイス制度」では、適格請求書発行事業者の場合、
さらに以下の内容も必須です。

  • 登録番号(T+13桁):発行事業者のインボイス登録番号
  • 消費税率ごとの取引金額・税額:税率ごとに合計・税額を明記

インボイスの法定記載事項(抜粋)

必須項目概要
請求書発行者の氏名/名称法人・個人名
取引年月日商品やサービス提供日
取引内容何の取引か明細で記載
取引金額金額、消費税、合計額
消費税率/税額8%・10%など税率ごとに区分
登録番号(T+13桁)適格請求書発行事業者のみ

3. 請求書の作り方

● 手書き、Excel/Word、自動作成ツール

1. 手書き・ひな形(用紙)

昔ながらの手書きも可能ですが、記入漏れや集計ミスのリスクがあるため現在は推奨されません。

2. ExcelやWordのテンプレート

  • 取引明細・金額計算・管理番号なども自動化できる
  • フリーのテンプレートやクラウドサービスも多数

3. 請求書発行システム・クラウドサービス

  • Money Forward、freee、マネーフォワードクラウド請求書、Misocaなどが人気
  • インボイスや電子帳簿保存法対応も進んでいる
  • PDF作成やメール送信、入金消込なども一括管理可能

● 電子請求書と電子帳簿保存法

  • 電子データのまま発行・受領・保存が可能
  • 2022年改正電子帳簿保存法により、メール/PDF/クラウドでの請求もOK
  • 紙の原本保存は不要(システム保存要件・検索性・タイムスタンプ等は要注意)

4. 請求書作成・発行時の注意点

● 記載ミス・漏れを防ぐ

  • 管理番号や日付の誤り、品目抜け、口座番号間違いなどはよくあるトラブル
  • 送信前の「ダブルチェック」推奨

● 送付方法の選択

  • 郵送(書留・普通郵便)、FAX、メール添付、クラウド共有など
  • 取引先の希望に合わせて柔軟に対応
  • メールの場合はPDF化推奨、パスワード付きZipでの送信やクラウドリンクも有効

● 請求書の保存・管理

  • 法定保存期間は「7年間」
  • 電子請求書もシステム保存が義務化(電子帳簿保存法対応)
  • 紛失・改ざん防止のため、アクセス管理や定期バックアップを

● 支払い遅延・未払い対策

  • 支払期日を明記し、リマインド通知も活用
  • 遅延損害金など規定がある場合は備考欄に明記
  • 未払い時は「督促状」や「内容証明郵便」も選択肢に

5. 請求書の実務Q&A

請求書はいつ発行すればよい?

納品完了後または契約で定めた締め日に速やかに発行します。
取引先の締日・支払日スケジュールに合わせることが大切です。

印鑑(社印)は必須?

2020年以降は印鑑レスが主流。法的には印鑑不要ですが、取引先が求める場合や銀行振込で証拠が必要な場合は押印しましょう。

送信後にミスが発覚した場合は?

「訂正請求書」「差替え請求書」を再発行し、ミスの旨を誠実に連絡します。
インボイス番号や請求書番号が重複しないよう注意。

請求書が不要な場合は?

軽微な取引や親族間、現金手渡し等の場合でも、税務処理や証拠保全のため請求書は発行・保存した方が安全です。

消費税やインボイス非対応の取引先は?

取引先が免税事業者でインボイス番号が無い場合、「適格請求書」にならないため、税務控除に注意。
取引先に必ず事前確認し、適格請求書が必要な場合は他の事業者を利用する選択も。

6. 実務で役立つ請求書発行のコツ

● 取引開始前に条件を確認

  • 支払い条件、振込手数料、消費税区分、締日・支払日などを契約時に明文化
  • 口頭だけでなくメール・契約書で残す

● 明細はなるべく細かく・分かりやすく

  • 一式請求より「品名・数量・単価・備考」まで明記
  • トラブル時のエビデンス(証拠)としても機能

● 備考欄・連絡欄を活用

  • 振込手数料負担(貴社/当社どちら負担か)や消費税区分、有効期限などを記載
  • 問い合わせ先・担当者名の記載も丁寧

● 複数部数の発行・管理

  • 自社控え、取引先送付、税理士提出など複数部数を管理
  • システム導入でペーパーレス化や一元管理もおすすめ

7. 電子請求書・インボイス対応の最新動向

  • クラウド型の請求書発行サービスが急増(電子帳簿保存法・インボイス対応必須)
  • メール添付PDFやWeb発行が主流になりつつある
  • インボイス対応で記載要件が増えたため、自動チェックや自動記入機能の活用が推奨
  • 紙・電子どちらでも法定保存義務あり(検索・訂正履歴など管理要件も追加)

8. よくあるトラブル事例と対策

● 振込金額の相違

  • 手数料差引で入金額が減るケース→「振込手数料の負担者」を明記し、差額の案内を徹底

● 請求書の紛失・改ざん

  • 電子データのバックアップやアクセス制御を必ず実施
  • 紙は防火・耐水・施錠など管理を徹底

● 支払遅延・未回収

  • 定期的な入金管理・督促の仕組みを作る
  • 法的措置も視野に、顧問税理士・弁護士に相談

9. まとめ

請求書はビジネスの信頼を築く「会社の顔」であり、税務・会計・トラブル防止の要でもあります。
法的要件やインボイス制度への対応はもちろん、分かりやすい記載・丁寧な対応・適切な管理がとても大切です。
電子化の流れも進む中、自社に合った方法で効率的・安全に請求書を発行・管理しましょう。
取引先との信頼関係を守るためにも、「請求書業務のレベルアップ」にぜひ本記事を役立ててください。


参考・出典

  • 国税庁「インボイス制度の概要」
  • 経済産業省「電子帳簿保存法」
  • 中小企業庁「請求書管理の手引き」
  • マネーフォワード・freeeなど請求書サービス公式解説

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