ビジネスメールや社内外の連絡、電話応対などで「致します(いたします)」という表現は非常によく使われます。
このフレーズは、自分の行動や意思表示を丁寧かつ謙譲語で表現するための日本語敬語であり、
「します」よりもフォーマルで礼儀正しい印象を与えます。
- 「“致します”の正しい意味や使い方は?」
- 「“致します”と“いたします”は何が違う?」
- 「どんなシーンや相手に使えばいい?」
- 「似た表現や注意点、英語表現は?」
- 「ありがちな誤用やマナー違反は?」
この記事では、「致します」の意味・定義、使い方や例文、言い換え・類語・英語表現、注意点・よくある誤用、致しますといたしますの違い、ビジネスシーンでの応用パターンまで詳しく解説します。
社会人・ビジネスパーソン必須の日本語マナーをマスターしましょう。
致しますの意味・定義
「致します」とは、「する」の謙譲語であり、自分や自分の所属する会社・チームが何か行う際に、相手や第三者に対して丁寧かつへりくだった気持ちで伝える日本語の敬語表現です。
- 「致します」は、目上の相手・取引先・お客様などフォーマルなシーンで多用される
- 単独で使うほか、「ご連絡致します」「ご案内致します」「確認致します」など、さまざまな動作表現に組み合わせて使う
- 文章中では「致します」「いたします」どちらも使われるが、詳細な使い分けは後述
主な使い方・ニュアンス
- 自分や自社の行動・意思を丁寧に伝える時の謙譲語(例:ご案内致します/確認いたします)
- 目上・取引先・顧客などへのメール、書面、電話応対で使われる敬語の定番
- 文章では「致します」、会話や口頭、柔らかい文では「いたします」も使われる
- 単なる「します」と比べ、より丁寧で格式が高い
例文
- 本日17時までにご連絡致します。
- 明日改めてご案内致しますので、よろしくお願いいたします。
- 後ほど担当よりご説明致します。
致しますの使い方・例文
「致します」はビジネスメール・書面・電話・会話など、幅広いシーンで自分側の行動や予定・意志を丁寧に伝える敬語です。
具体的な使い方や例文をシーン別に紹介します。
ビジネスメール・書面で
ご質問については、後ほどご連絡致します。
ご依頼いただいた件、明日までにご報告致します。
〇〇の件、こちらで手配致します。
電話や対面で
ただいま確認致しますので、少々お待ちください。
後ほど担当者よりご連絡致します。
お時間を調整致しますので、ご都合をお知らせください。
案内・報告・返信の際
詳細は追ってご連絡致します。
日程については再度ご案内致します。
ご要望がありましたら対応致しますので、ご遠慮なくお申し付けください。
致します・いたしますの使い分け
「致します」と「いたします」は、意味や使い方は同じですが、主に表記の上で違いがあります。
基本の違い
- 「致します」:漢字表記
主にビジネス文書や公式書面、フォーマルなメールで用いられる。
文書全体の体裁や硬さを重視したい時、統一感を出したい時に適している。 - 「いたします」:ひらがな表記
柔らかく親しみやすい印象を与えたい場合や、口語的・カジュアルな文脈、または同じ文中で「致す(いたす)」が連続して出る時のバランス調整として用いられる。
また、最近は読みやすさや温かみを重視して「いたします」を積極的に使う企業も増えている。
実際の使い分け例
シーン | おすすめ表記 | 理由 |
---|---|---|
公式書類・契約書・案内 | 致します | フォーマルさ・格式を強調 |
ビジネスメール | 致します or いたします | どちらもOK。統一感や雰囲気で判断 |
お知らせ・報告書 | 致します | 文書の硬さ・読みやすさを重視 |
社内連絡・口語 | いたします | 柔らかく、親しみやすい |
会話・口頭 | いたします | ひらがなの方が自然な響き |
注意点
- 一つの文書・メール内では「致します」「いたします」の表記は必ず統一する
- 公的・格式重視=「致します」/親しみやすさ・読みやすさ重視=「いたします」
- 「ご迷惑をおかけ致します」は「おかけいたします」とひらがなが一般的
致しますの言い換え・類語・英語表現
「致します」には、敬語レベルや文脈に応じてさまざまな言い換えや類語、英語表現があります。
相手やシーンによって使い分けてみましょう。
主な言い換え・類語
言い換え・類語 | ニュアンス・使い方 |
---|---|
いたします | ひらがな表記。親しみやすく柔らかい |
します | 謙譲の意味がなく、一般的・カジュアル |
させていただきます | 相手への許可・恩恵・お伺いのニュアンスを強調 |
行います | 公式・説明的な印象 |
実施致します | 「行う」「実行する」場面の丁寧表現 |
対応致します | 「対応する」の丁寧な敬語表現 |
使い分け例
- 致します…一番丁寧、正式な文章やメールで
- いたします…柔らかさを出したい時、読みやすさ重視
- させていただきます…相手の許可や配慮を強調したい時
英語表現
「致します」を英語に訳すときは、状況に応じてさまざまな表現が使えます。
日本語例文 | 英語表現例 |
---|---|
ご案内致します | We will inform you. / We will notify you. |
後ほどご連絡致します | We will contact you later. |
近日中に発送致します | We will ship it soon. |
確認致します | We will check (it). / I will confirm. |
対応致します | We will take care of it. / We will handle it. |
よく使う英語フレーズ
- We will …
- I will …
- Please let me know if …
- We will take care of …
- We will provide …
致しますを使う際の注意点・よくある誤用
「致します」は便利な敬語ですが、多用や不自然な使い方、表記ゆれに注意が必要です。
注意点
- 一つの文書内で「致します」「いたします」の表記は統一する
- 相手や場面に応じて使い分ける
- 取引先や顧客向けは「致します」、社内や口語では「いたします」も可
- 「致します」だけではなく、行動の内容・目的も明確にする
- 「させていただきます」と混同しない
- 使い方の違いに注意(相手への配慮の有無)
- 動詞を省略せず、何をするのかはっきり書く
よくある誤用・NG例
- 文中で「致します」「いたします」が混在
- 相手の行為に対して「致します」を使う(例:ご確認致します→相手の動作には不可)
- 過剰な多用・意味があいまいなまま使用
Q&A
シーン別使い方
ビジネスメールでの締め
今後とも何卒よろしくお願い致します。
ご要望がございましたら対応致しますので、遠慮なくお申し付けください。
連絡・案内・返信
詳細が分かり次第ご連絡致します。
改めてご案内致します。
電話や会話で
それでは、後ほどご説明いたします。
担当よりご連絡いたします。
シーン別応用例
シーン | 具体例文 |
---|---|
案内・連絡 | ご案内致します。/担当者よりご連絡致します。 |
確認・対応 | すぐに確認致します。/至急対応致します。 |
報告・連絡 | 進捗についてご報告致します。/資料の送付を致します。 |
電話応対 | 折り返しご連絡いたします。/担当よりご説明いたします。 |
まとめ
「致します」は、自分の行動や意志を謙譲し、丁寧に伝えるビジネス敬語表現です。
「致します」と「いたします」は場面や目的で使い分け、相手やシーンに合わせて敬語を選ぶことで、
より信頼されるビジネスコミュニケーションを実現できます。